改善しないサイトは損失を出し続ける。

by 橘 守

 〇ある不動産ポータル代表からの話

先日、昨年お手伝いをさせていただいたある不動産ポータルの代表より、「問い合わせフォームを含むサイト改善後の5月のコンバージョンの数字が、前年比でPCは23%増。モバイルはなんと57%増。例年低調な5月の実績がピーク時並みの数字を出しました」とうれしいご連絡をいただきました。その際のお話として、ここ4,5年のあらゆる改善施策を上回る数字だったとのことと、「逆にこの4-5年の機会損失が膨大であったことに思い当り、非常に複雑な気持ちです」とのことでした。

そうです。

コーポレートサイトを改善しないまま、ほっておくということは「損失を出し続けているということ」 なのです。

とはいえ、何の根拠もなしにリニューアルしましょうとか、改善しましょうでは、上長あるいは経営も簡単に了承を得られないということも事実です。中には前回のリニューアルが5年前だからそろそろという非常に根拠の薄い動機の企業もいらっしゃいますが。

私が担当している宣伝会議のコーポレートサイト講座でいの一番にお話しするのはサイトの現状把握の重要性です。それも数字で把握すること。そのベースとなるログ解析プログラムは、上濱直樹氏のブログ(http://uehama.blogspot.jp/)によると上場企業の3647社中662%がGoogleAnalyticsが導入されており(2016年5月29日現在)、その他のプログラムを入れるとほとんどの企業がなんらかのログ解析プログラムが導入されているというのが現状です。。つまり現状把握するためのツールはほぼすべての企業が導入済みということですね。

〇ログ解析プログラムを使いこなせていない。=正確な現状把握ができてない

ところがその導入済みのログ解析プログラムをとことん活用できているという企業は経験的に非常に少ないというのが私の印象です。数字で自社サイトの事業貢献度を把握されていないということなんですね。つまり、マーケティング装置としてのコーポレートサイトの企業への貢献度を数値化して把握していないということなんです。このことは先に述べたように、「日々の損失」を可視化できていないということですし、損失を可視化できていないということは「その改善のための投資額を算定できていないということにつながります。。これではサイト改善の予算も満足に獲得することは難しいということになります。

〇損失の換算例

サイト改善しないままほおっておくことの端的な損失換算の例をあげてみましょう。実は弊社では実際に流入直帰率50%前後のサイトを25%前後に改善した実績がBtoB、BtoCともにあります。なので机上の空論のタラレバ話ではなく、実際にこういうことが考えられるという事例でもあります。また、直帰率50%ということの意味は流入検索ワードに対して、ランディングしたページが訪問者の期待に応えてないページということができます。半数がそれ以降のページを見ずにそのサイトを離脱するということですから。

表のように毎月の流入数100万人のサイトで、全体の流入ページ直帰率が25%のサイトAと50%のサイトBがあるとします。サイトBが直帰率50%を改善しないままほっておくと、サイトBはどれくらい損失を出しているかという計算です。

月間流入数 直帰率 お問合せ 売り上げへの貢献
サイトA 1,000,000 25% 7500件 7億5000万円
サイトB 1,000,000 50% 5000件 5億円
※お問合せのコンバージョン率を1%とする ※お問合せ1件当たりの売り上げを10万円とする

 

2p目以降の流入ですが、サイトAは25%=25万人が直帰するので75万人流入 サイトBは50%=50万人が直帰するので50万人流入。KPI(KeyPerformanceIndicator)コンバージョン率を仮に同じで1%とすると(本当は異なるでしょうが)サイトAは7,500人。サイトBは5,000人。KPI1件当たりの売り上げをこれまた仮に10万円とすると、サイトAは7億5千万円。サイトBは5億。多くの改善ポイントの中の流入ページ直帰率を改善しないでほおっておくことで、サイトBは毎月2億5千万円の損失を出しているという計算になるわけです。とはいえそれぞれは仮の数字ですので、各社の実際の数字を使っていただければと思います。あるグローバルカンパニーの方が試算した際に損失が数十億にものぼり、グローバルヘッドクォーターからいつまでにやるんだ?なんていう反応もあったように聞いています。

いかがですか?現状把握に基づく改善を怠ることがこんなにも大きな損失を見逃していることになるのです。